肌荒れとは
主に顔の皮膚に何らかのトラブルが生じている状態を指します。
「肌荒れ」は、通常、健康な肌が持つ整った表面のキメやなめらかな状態が損なわれ、何らかの原因により肌が不健康な状態になることを指します。
肌荒れの主な症状と疾患
症状:
- 肌の赤みやかゆみ
- 湿疹や吹き出物の発生
- 肌の乾燥とかさつき
- 肌のブツブツ感やざらざらとした質感、ゴワゴワとした硬さ
- 皮がボロボロと剥ける
これらの症状は単一でなく、複数が同時に現れることがあります。
疾患:
1.乾皮症(かんぴしょう)
皮膚が柔軟性を失い、ゴワゴワとした状態。ひび割れや皮が剥けることもある。
2.皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)
洗いすぎなどが原因で皮脂が減り、水分保持力が低下した状態。皮膚がカサカサになりかゆみが生じる。
3.脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
皮脂の分泌が活発な部位に現れる湿疹。赤みのある発疹ができ、黄色いかさぶたになることもある。
4.刺激性接触皮膚炎(しげきせいせっしょくひふえん)
原因物質の毒性や物理的刺激によって皮膚に炎症が生じ、肌に赤みや小さな水疱などの湿疹ができる。
5.ニキビ(ざ瘡)
皮脂が排出されず毛穴に詰まり、炎症が起きた状態。
6.アトピー性皮膚炎:
- アトピー素因を持つ方が皮膚症状の悪化や改善を繰り返すこと。強いかゆみのある湿疹が認められる。
肌荒れの原因
肌荒れが生じるメカニズムは具体的にどのようなものなのでしょうか。以下に、肌荒れが引き起こる仕組みを解説します。
・皮膚のバリア機能の低下
肌荒れの主な原因の一つとして、皮膚のバリア機能の低下が挙げられます。
皮膚は複数の層から成り立っており、その表面には「角質層(角層)」が存在します。この角層には「角質」と「皮脂」が含まれており、これらが皮膚を保護するためのバリア機能を果たしています。
例えば、肌を強くこすったり、摩擦を与えたりすることで角質や皮脂が剥がれ落ちてしまう場合があります。角質と皮脂は肌を守る重要な役割を果たしており、これらが失われると肌は無防備な状態になります。その結果、紫外線、乾燥、物理的な刺激などからの損傷を受けやすくなり、炎症が生じやすくなります。バリア機能の低下・崩れとは、何らかの原因で角質や皮脂が失われ、正常な状態を保てなくなり、肌が無防備な状態に晒される状態を指します。
・ターンオーバーの乱れ
肌荒れが生じる原因として、肌のターンオーバーの乱れも考慮されます。
皮膚は複数の層から構成され、新しい細胞が内側で生成され、次第に表面まで押し上げられる仕組みがあります。この過程で、表面まで到達した角化細胞が剥がれ落ち、これが周期的に繰り返されることを「ターンオーバー」と呼びます。
しかし、何らかの原因によりターンオーバーが乱れると、剥がれ落ちるべき古い角質が肌の表面に留まり、その結果、肌にザラつき、かさつき、くすみ、黒ずみなどの症状が現れることがあります。このようなターンオーバーの乱れは、肌荒れの原因となり得ます。
・外的刺激
肌のバリア機能を守るためには、避けるべき外的刺激が存在します。これには以下のようなものが含まれます。
- 紫外線によるダメージ
- 洗顔や入浴時に強くこすってしまうこと
- 掻いたり擦ったりするなどの物理的な刺激
- 手で触れることにより汚れや雑菌が付着する
- 肌に合わない化粧品の長期使用
- 洗浄効果の高すぎるクレンジング剤の使用
・生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れや変化も肌荒れの要因となります。以下はその一部です。
1. 過労:
長時間働いたり、仕事のストレスがたまったりすると、体調不良が生じ、これが皮膚の健康に影響を及ぼす可能性があります。
2. 寝不足
十分な睡眠が取れないと、肌の新陳代謝や修復が妨げられ、肌荒れが引き起こされることがあります。
3. 栄養不足:
適切な栄養を摂らないと、皮膚に必要な栄養素が不足し、肌荒れが起きやすくなります。
4. 自律神経の乱れ:
ストレスや不安などが原因で自律神経の乱れが生じると、これが肌トラブルを引き起こす可能性があります。
5. ホルモンバランスの変化:
特に女性の場合、月経、妊娠、出産などの生理的な変化がホルモンバランスに影響を与え、肌荒れを引き起こすことがあります。
これらの生活習慣の乱れが体調不良を招き、皮膚に栄養が行き渡らなくなると、肌荒れが発生しやすくなります。風邪を引いたり体調が優れない時は、特に心身のケアに気を配りましょう。
肌荒れの対策
・刺激を与えないようにする
肌トラブルが発生した際、適切なリカバリーが求められます。しかし、このときには特に慎重で、無理な刺激を与えないことが非常に重要です。
肌荒れやトラブルの主な原因は、皮膚のバリア機能の低下によるものです。このバリア機能が低下していると、雑菌(通常の皮膚の常在菌ではないもの)が異常繁殖し、肌トラブルが引き起こされます。
肌トラブルが進行すると、炎症が起き、吹き出物や発疹、膿んだりするなどの症状が現れることがあります。このような状況では、過度な刺激を与えず、肌を優しく保つことが大切です。無理にいじったり、刺激を与えることで症状が悪化する可能性があるため、慎重なケアが必要です。
・皮膚のバリア機能を守る
皮膚のバリア機能が低下する主な原因は、皮脂や角質が必要以上に失われることです。角質を洗い流しても痛みを感じないし、皮脂を除去しても不快な感覚はありませんが、これらは実際には肌を保護するための重要な要素です。
角質と皮脂は、両方とも皮膚の表面に油膜のような保護層を形成し、肌を守っています。さらに、角質層や皮脂には抗菌物質である「ディフェンシン(defensin)」が豊富に含まれており、これが過度に失われると炎症を引き起こす可能性があります。皮膚の表面を保護する役割を果たすのが、これらの存在であり、それが「皮膚のバリア機能」なのです。